交流分析の解説とキャリアカウンセリングにおける有用性の考察(vol.2;ストローク)

本日は、交流分析の基本的な概念の「ストローク」について解説を行いながら、キャリアカウンセリングにどのように活かせるかについて一緒に考えていきたいと思います。

「ストローク(やり取り)」の理解

「ストローク」とは、コミュニケーションの中で、「親」、「子ども」、「成人」の自我状態をどのように出し入れして行うかというコミュニケーションの仕方です。

交流分析においてコミュニケーションは、片方が他方に対して「刺激」を与え、それに対して「刺激」を受けた側が「反応」を返す「ストローク(やり取り)」だと考えています。

そして連続するやり取りにおいては、片方の「反応」が他方に対する「刺激」になり、「ストローク」が連続していくという風に考えます。

そしてこの「ストローク」には参加者の自我状態の関係性から3つのタイプがあると考えます。「相補的なやり取り」と「交差するやり取り」と「裏があるやり取り」の3つです。

これら3つのタイプについて順番に解説していきます。

「相補的なやり取り」とは

「相補的なやり取り」とは、コミュニケーションの中の自我状態にねじれがない場合です。コミュニケーションの参加者がお互いに相手に期待している自我状態の関係性が成立している状態です。

例えば、10歳の男の子が叔父さんに次のことを言うとしましょう。

「この飴、美味しいよ。はい、あげるよ」(「親」→「子ども」)

それに対して、叔父さんがこう返します。

「ありがとう。うん、美味しいね」(「子ども」→「親」)

この状態におけるコミュニケーションは参加者のお互いにとって自然なものになりますので、そういったコミュニケーションは継続していくと考えます。俗に言う良い人間関係は、相補的なやり取りをしている関係です。

「交差するやり取り」とは

「交差するやり取り」とは、コミュニケーションの中の自我状態にねじれがある場合です。

例えば、10歳の男の子が叔父さんに次のことを言うとしましょう。

「この飴、美味しいよ。はい、あげるよ」(「親」→「子ども」)

それに対して、叔父さんがこう返します。

「飴は好きじゃないから、いらないよ」(「成人」→「成人」)

このような肩透かしをくらわすような、相手をはぐらかすような、交流が「交差するやり取り」です。

この状態では、互いに相手に期待している反応を得られないので、そのコミュニケーションは中断される(うまくいかない)と考えます。そして、一般的にはこのような交流は好ましくないとされます。

「裏があるやり取り」とは

「裏があるやり取り」とは、口と本心が一致していない交流です。

例えば、10歳の男の子が叔父さんに次のことを言うとしましょう。

「この飴、美味しいよ。はい、あげるよ」(「親」→「子ども」)

心の中では、(もうすぐ誕生日が近いから、ご機嫌を取ろう)(「子ども」→「親」)

それに対して、叔父さんがこう返します。

「ありがとう。うん、美味しいね」(「子ども」→「親」)

心の中では、(飴で機嫌を取ろうとするなんて、かわいい奴だな)(「親」→「子ども」)

つまり、このような裏のある交流です。しかし、いつもこれが悪いわけではもちろんありません。日本人によくある空気を読んでおこなう発言などもこれに当てはまることが多いでしょう。

最近よく耳にする忖度して行う言動もこういった「裏があるやり取り」が多いでしょう。

「ストローク」の理解がキャリアカウンセリングにどう活かせるか

「ストローク」に関する理解は、現実問題の対処において非常に有用であると考えます。

現実問題とは、情緒的な問題ではなく、現実に起こっている問題です。例えば、就職面接でうまくコミュニケーションが取れないとか、職場で部下や後輩とのコミュニケーションがうまく取れないとかいった問題です。

キャリアカウンセリングにおいては、まずは情緒的な問題に焦点を当てていき、現実的な問題は後回しにされることが多くあります。

しかし、適切なタイミングで必要があれば、上記のような現実の問題に対処していかなくてはなりません。そして、多くの現実問題は、人間関係に起因していることが多いです。

このコミュニケーションにおける現実問題に対処するのに「ストローク」の理解が有意義なのです。コミュニケーションにおける課題とその対策を明確に提示しやすいのです。

大抵の人は自分が行うコミュニケーションの癖があります。その癖が原因で、「相補的なやり取り」ではないストロークを行っていて、それが原因でコミュニケーションに齟齬をきたしているということがあります。

例えば、相手に対する甘えから「子ども」の自我状態になってしまう癖があったり、「成人」の自我状態でいることが楽なのでそれ以外の自我状態にならないという癖があったりです。

「ストローク」の理論を知っていると、そういったことに気づけて、それを提示することができるでしょう。

このように少し指示的に行動変容を促すようなかかわりを行っていく時に、特に有用なのではないかなっと思います。

次回は、交流分析を一躍有名にした「心理ゲーム」についてその解説とキャリアカウンセリングにおける有用性を考えていきたいと思います。

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