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JCDA出題のキャリアコンサルタント試験(実技)の論述問題の対策の方法と解答の作り方の解説。第6回試験問題の解答例付き。

今回は、第6回キャリアコンサルタント試験の実技試験の中の論述問題の解答例を書いていきます。現行のキャリアコンサルタント試験の論述試験は、実技試験の中で安定して得点が狙えますので、しっかり対策しておきましょう!

論述試験で出題される内容

第6回の論述問題で出題されていた内容は、第5回に出題されていた内容とほぼ同じでした。事例は違いますが、問われている内容は全く同じでした。過去問を使って対策をしていた方は、安心して解法できたのではないかなと思います。

今後もこの傾向は続くと思いますので、論述問題においては過去問をしっかり対策することが、一番効率的な対策になると思います。

過去問題の対策の仕方

過去問題の対策の仕方としては、「出題者の意図を考える」ことと「解法のフレームワークを準備する」のが良いでしょう。

「出題者の意図を知る」ことで、どのような解答をすればよいかということがわかります。また出題者はキャリアコンサルタントとして最低限身に着けておいて欲しい態度や意識を身に着けているかを試験で問いたいわけですから、出題者の意図を考えることでキャリアコンサルタントとして必要とされる態度や姿勢に対する理解も深まります。

「解法のフレームワークを準備する」ことで、試験本番において落ち着いて試験に臨めることでしょう。また論述問題は意外と試験時間が足りません。何を書こうかと悩んでいるとすべての問題をしっかり解答できないかもしれません。解法のフレームワークを準備しておくと迷わずに解答できますので、そういう点でも安心です。

この記事では、「出題者の意図について」と「各問題の解答例」を書いていきます。「あなたの解法のフレームワーク」をご自身で考えるのにあたり、この記事の中の解答例をお役に立てていただけると嬉しいです。

論述試験における解法の軸

これまでの論述問題では、この考え方を使って解答を作成することができます。実際にこの解法の軸をもとに解答例を考えていきますので、どのように活かせるかをこの記事の続きを読んでご確認ください。

第6回の論述試験で出題された事例

入社4年目の社員が、「仕事を続けていけるのかどうかわからなくなって相談に来た」という事例でした。そして事例Ⅰではいきなり指示的なかかわりを始めて、事例Ⅱでは自己探索を深めるかかわりをしています。

2つの事例が並ぶので、どちらかが相応しく、どちらかが相応しくないと考えられます。相応しいかどうかの判断は、クライエントの反応を見ればわかります。相応しい対応をしている方が、大抵クライエントがイキイキと反応しているように描かれます。

問1と問2はそれぞれの事例を比較して検討する問題なので、まとめて考えていきます。それでは、見ていきましょう。(第6回の試験問題(論述問題)をご覧になりながら記事をお読みください)

問1・問2の出題者の意図

問1は、キャリアコンサルタントの対応が違うそれぞれの事例で、その後の展開が異なってきていることを説明する問題です。

問2は、それぞれの事例におけるキャリアコンサルタントのかかわりが相応しいかどうかを判断し、その理由を述べる問題です。

ここで、まず前提としておさえておく必要があることがあります。それは、キャリアコンサルタント試験の実技試験の対象となる場面は、論述試験も面接試験もキャリアカウンセリングの導入の段階だということです。

キャリアカウンセリングの導入の段階で課題となるのは、「リレーションの構築」です。これが達成できないとキャリアカウンセリングは効果的に行えません。キャリアコンサルタント試験の実技試験ではこの部分を非常に重要視しているように思われます。

出題者の意図としては、「キャリアカウンセリングの導入部において、クライエントとカウンセラーがリレーションを構築するためにふさわしいかかわりについて理解できていますか?」というのを問いたいのではないかと考えられます。

「リレーションの構築」という考え方に対して有効なのは、以下だと考えられます。ロジャーズ理論における受容と共感。アイビィにおける関わり技法。傾聴の技法。JCDAの提唱する「経験代謝」の経験の再現。これらについて理解を深めればおのずと解答が作成しやすくなりますよ。

JCDAの論述問題を受ける方へのお勧めは、「経験代謝」の理解を深めることです。問1の指定語句なんかは経験代謝の考え方にマッチします。「経験代謝」についてはこちらの記事で詳しく検討しています。気になる方はぜひご覧ください。

問1の解答例

事例ⅠのCCtの対応は、CLの自己探索を深めようとせず、いきなり指示的なかかわりをおこなっている。それによりその後の展開において、CLの自己洞察は深まっていない。事例ⅡのCCtの対応は、事柄に対して相談者がどのように受け止めているかを知ろうとしているのがわかる。それによりその後の展開において、CLの経験が語られ、そこからCLの事柄に対して抱く固有感情や、CLの固有のものの見方が浮かび上がってきている。(203文字;赤字は指定語句)

問2の解答例

事例ⅠのCCt4  相応しくない

事例ⅠのCCt4の発言からは、CCtがCLの話をしっかり傾聴せずに、いきなり指示的なかかわりを始めていることが分かる。このようなかかわりではリレーションは構築できないので相応しくない。

事例ⅡのCCt3  相応しい

事例ⅡのCCt3の発言からは、CCtがCLが「やる気をなくした」出来事について知ろうとしていることが分かる。これは、CLの経験をもとにCLの自己探索を深めるかかわりなので相応しい。

事例ⅡのCCt5  相応しい

事例ⅡのCCt5の発言からは、CCtがCLの過去の経験を語る中で浮かび上がってきた感情について聞いているのが分かる。これは、相談者の自己探索を深めようとしているので相応しい。

問3の出題者の意図

キャリアコンサルタント試験の実技試験では、キャリアコンサルタンティングの導入の段階が舞台として出題されます。導入の段階の課題は、「リレーションの構築」です。

だからか養成講座などでは、「リレーションの構築」に関して教わるあまりに、「問題解決を志向してはいけない」という風に思いこんでいる方も多いように感じます。

「リレーションの構築」の段階で「問題解決を志向する」のは時期尚早ですべきではありません。しかし、キャリアコンサルタンティングを通じては、しっかり問題解決をしていかないとキャリアコンサルタンティングとしての価値は低くなってしまいます。(話を聞いてもらってすっきりしたけど、何も解決しないという状態になります)

問題解決をしていくためには、問題は何かということを正確に設定しないといけませんね。問3では、キャリアコンサルタンティングにおいての問題とは何かをちゃんと理解できていますか?ということを問いたいのではないかと思います。

問3の解答例

今回の事例におけるの相談者の問題は、仕事において上司から細かく指示を受けたことに対して、信頼されていない、自分はいい人だと上司のことを思っていただけに想いが一方的な感じで悲しいと感じていること。

問4の出題者の意図

問4はキャリアコンサルタントとして今後どのようなかかわりをしていくかを問う問題です。キャリアコンサルタントはただ傾聴するだけではなく、そのかかわりに意図性を持ってかかわっていかないといけません。

キャリアコンサルティングを冒頭にキャリアコンサルタントとしてどのようにかかわっていくか見立てを立てます。そのあたりの意図性を問いたいのではないかと考えられます。

ここで注意していただきたいことは、未来に向けてのかかわりについてですが、勝手に創作してはいけないということです。事例内に書いていないことを勝手に記載するとクライエント中心にキャリアコンサルティングをおこなっていないと捉えられます。事例内で語られたことだけをもとに解答を作成していくのが無難だと私は思います。

問4の解答例

相談者は仕事において上司から細かく指示を受けたことに対して、信頼されていない、自分はいい人だと上司のことを思っていただけに想いが一方的な感じで悲しいと感じている。「細かく指示を受けることが、どうして信頼されていないということにつながるのか」、「想いが一方的な感じだとどうして悲しいと感じるのか」といったことを相談者と一緒に丁寧に知りに行く。その過程において、相談者の自己探索を深めていき、相談者がこれからどうしていくかを具体的に見出すことができるように面談を進めていく。

さいごに

実技試験の解答は一つだけではなく、様々な解答が考えられます。是非、あなたのしっくりくる「自分の解法のフレームワーク」を考えてみてください。そのためにこの記事を役立てていただけることを意識して僕はこの記事を書きました。

その際、キャリア開発協会の実技試験を受けられる方は、ひとつ知っておいてください。キャリア開発協会は「経験代謝」という考え方を非常に重要視しているということを。

キャリア開発協会主催の実技試験を受けられる方は、「経験代謝」についてはしっかり理解して、他人に説明できるぐらいになっておいてください。もちろん、面接試験などで実際に実践できると素晴らしいと思います。「経験代謝」の理解は合否に直結すると思います。

また、「経験代謝」を現場においても非常に有効な手法になります。試験勉強だけにとどまらない非常に有用なものですよ!経験代謝については、こちらの記事をご参照くださいね!

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