人間関係の悩みを劇的に改善させてくれる手法とは
テレビで大学生くらいの青年がこんなこと言っていました。「自分の思っていることは言わないようにしています。その方が波風立てなくてすむんで」
人間関係の悩みは多くの人が抱えています。空気を読んで、自分を押し殺して、無難にやり過ごす、といったコミュニケーションに慣れている人も多いかもしれません。
しかし、それでは深く人とかかわっていくことはできません。相手のことを理解するとともに、自己開示をして自分のことも理解してもらうことで、コミュニケーションは深くなっていきます。
このような波風を立てないようにする浅くて表面的なコミュニケーションをしてしまうのは、コミュニケーション能力に自信がないからなのかなっと僕は思いました。
今日は、人間関係の悩みを劇的に改善させてくれる手法について記載していきます。
人間関係の悩みを劇的に改善させてくれる手法とは
もし、こんな人があなたに隣にいてくれたらどうでしょう。
あなたのことをいつも理解しようとしてくれる
あなたの想いや考えをしっかり受け止めてくれる
あなたに対して思いやりをもって接してくれる
あなたをひとりの人間として尊重してくれる
あなたのことを黙って信用して見守ってくれる
なんか少し、あなたの世界が明るくなりそうな気がしませんか?
あなたが、相手にとってそんな人になることができれば、あなたを取り巻く人間関係は劇的に良いものとなっていきます。
さて、上記のような状態をカウンセリングの世界では、「共感」と言います。よく聞く言葉ですが、日常と耳にする意味と、今日この記事の中の「共感」はちょっと違います。その辺の違いは読んでいくうちに少しずつわかっていただけるかなって思います。
今日は、「共感」を身に着けることで、家庭や職場などで、あなたやあなたを取り巻く人達をこれまで以上に明るくなってもらえる方法を紹介していきます。
「共感」を身に着けるための3ステップは、以下の3つです。
1.自分の心の動きを知る
2.相手を中心にしてみる
3.相手もオープンになることに気づく
共感とは何か
まず、「共感」とは何かについて考えていきましょう。
「共感」の定義は様々ありますが、僕は「相手のことを、自分の心を使って、理解しようとする行為」と定義したいと思います。
例えば、就職活動がうまくいっておらず、内定がひとつも取れていない中村さん(仮名)がいるとしましょう。そんな中村さんが同級生の田中さん(仮名)とお酒を飲んでいる場面を想像してください。田中さんも、まだ内定が取れずに悩んでいます。
中村「実は、まだ内定取れていないんだ」
田中「そうなんだ。大変だね」
中村「面接だって、しっかり準備して、自分なりには自信があったんだけど」
田中「うん」
中村「駄目だった」
田中「そうか」
中村「親も心配してるし、もうどうしたら良いか。辛いよ。」
田中「その気持ちわかるよ」
中村「・・・」
田中「俺だってさぁ、内定取れなくて恥ずかしくてさぁ」
さて、この田中さんの「その気持ちわかるよ」に注目してください。これは「共感」でしょうか?
中村さんの苦悩は、中村さん独自のもので、他の誰かには絶対にわかりえないものです。内定が取れていないと状況に対して、中村さんがどう感じるかということと田中さんがどう感じるかは必ずしも一致しないからです。
例えば、中村さんは内定が取れなくて親に心配かけて申し訳ないと思っているとします。田中さんは内定が取れなくて恥ずかしいと思っているとします。二人の状況はもしかすると似ているかもしれませんが、心の状態は全然違います。
よくある「共感ミス」は、同じような状況だから、同じように感じているだろうという思いこみです。
人は、みんな個性があって物事への感じ方や考え方は千差万別です。なのに、同じようなことを自分も経験している(経験したことがある)と相手も自分と同じように感じていると思い、自分に置き換えて話をします。
こういうコミュニケーションをされた相手は、全く話を聞いてもらっている気にはなれません。この事例の場合でも田中さんは全く共感できておらず、自分の話をしているだけです。
「共感」とは、「相手のことを、自分の心を使って、理解しようとする行為」と定義しました。つまり、相手の感じていることを完全に知ることはできないけれど、相手の感じていることを必死に理解しようとする行為を「共感」だと考えます。
そして、相手が感じているということを、あなたの心をを使うことで、あなたも同じように感じようとすることで、相手のことを理解するのです。
なんとなくお分かりいただけたでしょうか?具体的にそんな「共感」を身に着ける3ステップを見ていきながら、より理解を深めていっていただけたらと思います。
共感を身に着けるための3ステップ①;自分の心の動きを知る
相手がどう感じるかを理解するために、あなたはあなたの心を使います。そのために日頃から、あなたはあなたの心がどう動くかを感じれるようになっていることが必要です。
何かを見たり、聞いたり、経験したときに、それについてあなたはどう感じるか意識してみてください。好き、嫌い、嬉しい、楽しい、悲しい、辛い、などさまざまな感情がそこにはあるでしょう。
感情を受け止めて、そしてどうしてあなたはそう感じるのだろう?そんな自分はどんな自分なんだろう?と振り返ってみてください。
きっと、そこにはあなたらしい独自性が浮かんでくると思います。それがあなたの個性です。
あなたは、あなた自身の特別さに気づきます。すると、あなたの前にいる相手も、あなたと同様、独自性のある特別な存在なんだろうという気がしてくるはずです。
もうここまでくると、相手があなたと同じような状況にいたとしても、同じようなことを感じているとは決して言えないということが腑に落ちていると思います。
自分の心の状態について、あなたがそれを感じ、素直に受け止めている状態を、オープンな状態だと僕は感じます。自分に対してオープンになると相手に対してもオープンになってきます。
共感を身に着けるための3ステップ②;相手を中心にしてみる
あなたは、自分の心の動きを感じるオープンな状態にいます。すると、相手の話を聞きながら、あなたの心は動きながら、様々なことを感じるはずです。
しかし、それはあなたの心の動きであって、相手の心の動きではありません。あなたが感じたことは相手の感じていることと合っているでしょうか。それは、相手に確認しないとわかりません。
先ほどの中村さんと田中さんの例で考えましょう。中村さんの話を田中さんは聞いています。この時田中さんは自分のことは置いといて、中村さんを中心にするのが必要です。
中村「親も心配してるし、もうどうしたら良いか。辛いよ。」
田中「親に心配かけて申し訳ないって感じているの?」
中村「うん、親は安定志向でさぁ。早く俺が有名な会社に就職することを望んでいるんだ」
田中「それで、ご両親が心配かけてしまっているなぁって思っているんだ」
中村「そう。なんかそれで、焦ってきてね」
田中「焦るって、周りの目とかも気になる感じなの」
中村「いや、おれは周りの目は気にならないんだけど、親が気にしているみたいでさ」
田中「親が気にしているんだ。それで、中村はそれをどう思っているの?」
中村「おれはさぁ、別にそんなすぐに就職先決めないで良いんじゃないかなぁて思ってんだよね。」
ここでは、「わかるよ」と簡単に言っていません。他人の心は簡単にはわかりません。そのかわりに田中さんは、中村さんのことをわかろうとしていることが見て取れると思います。
相手を中心にするとどんどん話が深くなっていきます。中村さん自身も、自分がどう思っているか深まっていきます。
共感を身に着けるための3ステップ③;相手もオープンになるのに気づく
上記の例のようなコミュニケーションをすると、相手が話す内容が深くなっていることに気づくでしょう。相手があなたに対して、どんどんオープンになって、これまで聞いたことのない話をしだすことにあなたは驚くでしょう。
そして、驚くと同時に、あなたはきっと嬉しいはずです。相手がオープンであるというのは、相手があなたのことを信用しているという証でもあるのですから。
そのような、関係性になると、相手もあなたのことを理解しようと親身に話を聞いてくれるようになります。そのような関係は、素敵だと思いませんか?
もうここまでくれば、あとはしめたものです。あなたはもう、「共感」の力を疑うことはないでしょう。
いつでも、どんな相手でも、共感しようとするのは大変なことです。まずは、あなたにとって大切な人から、「共感」してみてください。きっと関係性が良くなることをすぐに実感いただけるはずですよ。だって相手は嬉しそうな顔をしてくれますから。