日々の意思決定の迷いを少なくする一つの方法
ゼン・クライア・デブラック著、本田健訳の「一瞬で自分の答えを知る法」という本を読みました。自分の答えを知るのを支援する仕事をしている僕としては、これは外せません。本屋でタイトルを見た瞬間、中身を確認せずにレジまで持っていきました。
意思決定をするのは、楽ではない
日々、僕たちは様々な意思決定に遭遇します。想像してください。
あなたは夢の中にいます。
幸せな夢です。
急に、この世で一番嫌いな音が鳴り響きます。
ピピピピッ、ピピピピッ
目覚まし時計です。
「嫌だ、起きたくない!」
さて、あなたは起きますか?
あなたは二度寝しますか?
このようなちょっとした意思決定から、重大な意思決定まで、僕たちの日常には意思決定が溢れています。そして、大半の人は、頭で意思決定をしていると思います。例えば、先ほどの目覚めの意思決定の場合、「起きないと仕事に遅れる」って思うと多くの人は起きるでしょうし、「まだ30分は寝てても大丈夫」だったら二度寝をするかもしれません。大体、僕たちは頭で意思決定をしています。
頭で意思決定をする場合、僕たちは毎回頭で状況を整理し、どうするのが自分に良いか考えなければいけません。しかし、毎回頭で意思決定をするということにはデメリットがあることをご存知ですか?「決断疲れ」というデメリットです。
僕たちの脳みそは莫大なカロリーを消費します。頭を使って意思決定をする場合、脳みそが様々な条件を吟味して良さそうな答えを出そうとするのですが、この機能を使うとエネルギーを消費すると言います。些細な決断でも繰り返し行えば、脳みそが疲れてしまうのです。これが「決断疲れ」と言います。
この決断疲れを回避する方法が、二つあります。それは、「意思決定を減らす」か「意思決定の軸を持つ」かの二つです。
「意思決定を減らす」という方法には有名な話があります。かのスティーブジョブズが毎日同じような服(黒のタートルネックのシャツにジーパン)を着ていたという話です。服選びなんかに大切な意思決定のエネルギーを使ってられるかということらしいです。
前アメリカ大統領のバラクオバマやフェイスブックの創始者のマークザッカーバーグなども同じような服(同じようなスーツ)を着ていたということで有名です。日常の細々とした重要性が低い意思決定事項をできるだけ減らすというのは有効な手なのでしょうね。
そして、今日の本題は、「意思決定の軸を持つ」という方法です。意思決定の軸を持つというのもいくつかの方法がありますが、この「一瞬で自分の答えを知る法」という本では、その「意思決定の軸」について明確な方法論が記載されています。
あなたの中に答えはすでにある、あとはそれに従うだけ
この本に書かれている方法とは、簡単に言うと、胸の辺りが「開く感じ」がするとそれはあなたにとっていいことで、「閉じる感じ」がするとそれはあなたにとって良くないことというのが、意志決定の軸になるという方法です。(具体的な方法やその威力については本をお読みください)
例えば、前述の目覚ましの場面を考えてみましょう。目覚まし時計が鳴った時に、「起きる?」と自分に問いかけてみます。この時、胸のあたりが「開く感じ」がすれば起きましょう。胸のあたりが「閉じる感じ」がしたら、もう一度寝ましょう。といった具合に使います。
あなたは、嫌なことがあったりして、胸がきゅ~と閉まるような想いをしたことはこれまでありませんか?それとは逆で楽しい時になんか心がオープンになっているのを感じたことはありませんか?そういう感じが胸が開くとか閉じるとかという感覚です。
つまり、「どうすれば良いかはあなたの中にあるので、それに従うだけで良いよ」という考え方です。
どうでしょう?ちょっと怪しく感じましたか?
スピリチュアル的に言うと、「あなたの心に神が話しかけてくる」という感じでしょうか。僕は、こういうのを「怪しい」と感じますが、あなたはいかがでしょう。
心理学的に言うと、「潜在意識があなたにとって何が良いかを知っている」となります。潜在意識の存在を認識し、それを感じようとすると言えます。
脳科学的に言うと、「ホメオスタシスが働いて、あなたを望ましい状態に置くために身体に働きかけている」となりますでしょうか。
つまり、言い方は様々ありますが、学術的にもあなたの答えはすでにあなた自身の中にあるというのは、様々な分野で研究されています。僕は、キャリアの心理学や教育心理学、組織心理学などを勉強しておりますので、心理学的な言及がしっくりきます。
この意思決定の方法は、あなたの心が、あなたがどうしたら良いかを知っているというのが前提となります。意思決定が必要なたびに、自分の心がどう感じているかに耳を澄ませてみてください。確かに心が反応していることに、きっと気づいていただけるのではないでしょうか。
心の声が聞こえない原因
「いや、耳を澄ませてみたけど、まったく何も感じませんが」って方もいらっしゃるでしょう。心の動きが感じ取りづらくなる原因は2つあると僕は考えます。それは、「心にフタをする癖がついている」「未来に向けてのビジョンがない」の2つです。
「心にフタをする癖がついている」というのは、心が動いているのに、それに気づかないフリをするのに慣れてしまっている状態です。こういう状態になってしまうと心の動きにどうしても鈍感になってしまいます。
これが原因かな?って思う方は、子どものころのことを思い出してください。子どもの頃は、もっと心の動きに敏感だったことはありませんか?もし、そうなら、きっと今もあなたの心は良く動いているはずです。子どものころを思い出して、自分の心がどんな動きをするか意識してみてください。
「未来に向けてのビジョンがない」場合は、心の動く指標がありません。潜在意識もホメオスタシスも、その働きの前提となる要素があります。それがあなたの未来に向けてのビジョンです。
自分はこういう人間だ、じぶんはこういう風になりたい、といった自分自身に対するイメージ(過去、現在、未来に向けても含む)に心は反応します。その自己イメージに合うように、潜在意識は働きます。習慣が続くこともこの力です。
しかし、自己に対するイメージが希薄で、自分の未来が描けない状態だと、心はどうするのが自分らしいか、自分にとって良いか判断できません。なので、その場合は、心の動きが鈍ると考えられます。
この心の動きの感じ方については、「一瞬で自分の答えを知る法」に詳しく記載がありますので、興味を持たれた方は、ご覧になってください。